2009年7月20日

ウィルス性の胃腸炎

ロタウィルスとノロウィルスの2種類のウィルス性の胃腸炎が主に冬に流行しますが、最近では夏でも良く見られるようになりました。オムツをしている乳幼児では保育園や幼稚園で接触感染に注意する必要があります。また、吐物を室内に放置しておくことにより乾燥した空気の中で空気中に浮遊し感染する経路が問題となっています。従って、吐物や便の付着したオムツを室内に放置しておくことは家族内感染の危険があり注意が必要です。潜伏期は短く24〜48時間です。

●ロタウィルスによる胃腸炎(白色便下痢症い)
生後6ヶ月から2歳の乳幼児がかかる胃腸炎で、便が白色になることから白色便下痢症とも呼ばれますが40%が白色便を呈します。冬の胃腸炎の過半数を占め1月〜3月に流行します。
症状は突然の嘔吐、下痢が出現し多くは38〜40℃の発熱を伴います。嘔吐や下痢は1日に10回以上となることが多く、乳幼児では容易に脱水状態に陥ります。脱水状態とは水分が不足するために、おしっこが少なくなり唇や皮膚が乾燥し、症状が進むと、目がくぼみ、お腹が引っ込んでしまう状態で、脱水が進行すると入院し点滴が必要となります。

●ノロウィルスによる胃腸炎
 一般に11月〜12月に流行し、3才以上の小児で多く見られる胃腸炎ですが、乳幼児でも成人でもみられます。電子顕微鏡で見ると小さい丸い形をしているので小球形ウィルスそうとも呼ばれていて、カシリウィルス、アストロウィルス、ノーウォークウィルスなどのいくつかの種類があります。

●嘔吐が激しくて水分が口から取れない場合には?
ロタ、ノロともに治療は同じです。感染性胃腸炎では最初の1〜2日目に吐き気、嘔吐が強く見られます。嘔吐や吐き気があるときに無理に水分を取ろうとすると逆効果です。吐き気止めの座薬を使って胃を空にして吐き気がおさまるのを待つのが最良の方法です。
吐き気がおさまった時点から少量の水分をスプーンで少しずつゆっくりと根気よく与えてみてください。脱水時の水分補給としては経口補水塩(塩分と糖が理想的に含まれる飲み物)、湯ざまし、麦茶、番茶、などが良いでしょう。胃の中に水分が貯まらないようにゆっくりと与えると水分は次第に小腸に移行し、たいていは数時間で吐き気はなくなり水分が取れるようになります。吐き気止めの座薬としてはナウゼリン座薬があり1日2回、6〜8時間間隔で使用します。

●食事療法は?
下痢症ウィルスに対して直接効果のある有効な治療法はないので食事療法が一番大切です。乳児の場合は母乳であれば今まで通り、粉ミルクであれば80%に希釈してあげましょう。そのほかに、経口補水塩といわれるアクアライト(和光堂)、OS-1(オーエスワン:藤沢薬品)などが脱水の治療に効果があります。自家製の経口電解質輸液(水1リットルに塩2g、白糖40g、オレンジの絞り汁でカリウムを補充したもの)でもかまいませんが家族内感染の危険を避ける必要があります。1回20〜30mlの少量を頻回に与え一日量として100ml/kgはとるようにしてください。
年長児では沸騰して冷ました牛乳、煮込みうどん、卵粥、お豆腐、バナナ、ビスケット、焼いたパンなどをあげてください。コロッケ等の揚げ物やハンバーグなどの脂っこいものは避けましょう。

●下痢が一週間以上続くときには?
下痢が10日以上続くときは小腸が乳糖を分解できなくなる二次性乳糖不耐症という状態が起こります。そのような場合はミルクにガランターゼという消化酵素を加えたり、乳糖を含まない大豆乳(ボンラクト、ソーヤミルク)、カゼイン水解乳(MA-1ミルク)で下痢が良くなることがあります。

 
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